ロシア連邦教育省認定ロシア語検定試験について

検定試験の概要

  ロシア連邦教育省認定ロシア語検定試験(ТРКИ) は,外国語としてロシア語を学ぶ人のための,ロシア連邦教育省が認定する国家試験です。検定レベルは,学習歴の浅い順から入門レベル,基礎レベル,第1レベル,第2レベル,第3レベル,第4レベルの6つの段階に分けられています。

  第1レベルに合格すると,ロシアの大学に入学できる語学力を持っていると判断されます。またロシアの大学院に入学するためには,第3レベルの語学力が要求されます。第4レベルはネイティブと同じレベルです。

  各レベルの試験は 文法・語彙,読解,聴き取り,作文,会話 の5科目からなります。

  5科目すべてが基準点数に達すると,成績表とレベル認定書が授与されます。一度目の受験で基準点に達しない科目が2科目以下の場合に限り,合格科目は2年間有効とされ,2年以内に不合格科目だけを受け直して合格すれば,同じようにレベル認定書が与えられます。

 

ロシア語検定レベル判定基準ロシア語検定レベル判定基準

 

入門レベル

限られた場面で,基礎的な語彙や表現を使ってロシア語でコミュニケーションを取れる。

文法・語彙

習得語彙数760語。基本単語を理解し,文章の中で正しく使うことができる。人称代名詞と名詞,名詞と形容詞を一致させて格変化できる。動詞の体,時制を使い分けられる。動詞の不定形の用法。きわめて基本的な運動の動詞。接続詞и, а, но を使った複文,関係代名詞который や что, когда, куда,   потому чтоなど 基本的接続詞を持つ簡単な複文の理解。

読解

簡略化された文学作品や評論などの文章を読み,問いに答えることができる。

作文

事実表現の簡単なテキストを読み,内容に関する質問の答えを書く。自分自身,友人,家族,仕事,休日の過ごし方などの質問に,5つ以上の短い文章で答えることができる。

聴き取り

短い会話やモノローグを聞いて,そのテーマや主な内容など大意を理解し,聞いた内容に合った文章を選ぶことができる。

会話

自分のこと,友人,家族,仕事,余暇など,日常的なテーマで会話をすることができる。

基礎レベル

日常生活場面で必要最低限のコミュニケーションを取ることができる。限られた一定の範囲で専門的活動をするための基礎的なロシア語力がある。

文法・語彙

習得語彙数1300語。類似の語彙を前後関係から正しく使い分けできる。文脈の中で語,語句を格変化させることができる。動詞の体,時制の使い方,動詞の不定形の用法,運動の動詞の使い方。関係代名詞что, ктоなどや接続詞чтобы, поэтомуなどを持つ複文の作り方。

読解

掲示,広告などから取った様々な短いテキストを読み,基本情報をつかむことができる。地域研究,社会評論,日常生活などについて平易に書き直された文章の内容を理解できる。

作文

テキストを読み,設問にそって文章にすることができる。10以上の文章で自己紹介文(自分自身のこと,家族,外国語の学習,仕事,余暇,故郷,健康など)を書くことができる。

聴き取り

日常生活や文化的なテーマについての会話やモノローグを聴いて,その主な内容(テーマ,場所,時間など)を理解できる。

会話

典型的なよくある状況で話し掛けたり,自分の意思を伝えたりできる。自分のこと,友人,家族,勉強や仕事,外国語学習,休日の過ごし方,健康や天候などについて話ができる。テキストを読んで,自分の意見を言うことができる。

第1レベル

日常生活や社会的文化的場面でコミュニケーションをとることができる。このレベルの試験の合格者は,ロシア語学習を続けることを条件に,ロシアの大学入学が認められるが,さらに専門分野別ロシア語テストにも合格する必要がある。

文法・語彙

習得語彙数2300語。類似の語彙を適切に使い分けることができる。形容詞や前置詞を伴う語群を文章のなかで正しく使用できる。文脈の中で,動詞の不定形,完了体・不完了体,運動の動詞を正しく使い分けることができる。   並列複文,従属複文を理解する。

読解

新聞や雑誌,本の文章を読み,全体的な内容をつかみ,著者の結論や評価を理解することができる。

作文

読んだり,聞いたりしたテキストの主な内容を,与えられたテーマに沿って,まとめることができる。出されたテーマ(自分のこと,家族,勉強,外国語学習,休日の過ごし方,故郷,健康,天候など)について20以上の文章を書くことができる。

聴き取り

短い会話を聴いて,内容(テーマ,時間,関係,特性,目的,理由など)を把握する。長めの会話を聴いて,その話者たちの意見や行為に対する自分の考えを述べる。アナウンス,ニュース,社会的文化的内容の情報などを理解できる。

会話

日常生活の広範囲な場面で,会話に加わり,話し掛け,話合い,話をしめくくることができる。自分のこと,仕事,職業,関心事,国や町,文化問題など様々なテーマについて話ができる。社会的,文化的内容の文章を読んで,これをもとに自分の意見を述べることができる。

第2レベル

あらゆる面で,かなり高度なコミュニケーション能力を有していることを証明するテスト。人文,技術分野,自然科学分野の専門家にはこのレベルのロシア語力が必要とされる。ロシアの大学で学士,修士,博士候補の資格を取得したいと願う者にとっては,このレベルを合格することが必要条件の一つ。同じレベルの専門分野別語学テストにも合格する必要がある(人文系専門家,通訳,編集者,ジャーナリスト,外交官,ロシア語を話す職場で働く人には,さらに上のレベルのロシア語力が必要とされる)。

文法・語彙

習得語彙数10000語。主語と述語の一致,形容詞の長・短語尾形,完了体・不完了体,動詞や短語尾形の補語,時,場所,原因,様態など修飾の副詞句,形動詞,副動詞,複文,動詞の接頭辞の使い分け。公文書,論文,ジャーナリズムなどの文体がわかる。

読解

評論,文芸,叙述文,物語文など各種の長文や,著者の評価の入った様々な文章を読むことができる。

作文

目的にそって考えをまとめ,手紙やレポートを書くことができる。手紙やビジネスレター,事務的文書(申請書,照会,説明文など)を書くことができる。

聴き取り

話し手たちの関係がわかる日常会話を理解できる。ニュースなどを聴き取ることができる。登場人物の関係が描写された劇映画やテレビ番組の会話を理解できる。

会話

与えられた条件にそって会話ができる。詳しく質問したり,見たことの要旨を語ったりできる。自分の意見や価値判断を伝えることができる。自由な会話の中で問題を分析できる。

第3レベル

あらゆる面で高度なコミュニケーション能力を有していることを証明するテスト。人文系専門家,通訳・翻訳者,編集者,ジャーナリスト,外交官,ロシア語を使用するビジネスマンなどに必要なレベル。ロシアの大学でこれらの分野の学士,修士の資格を取得するには,さらに同じレベルの専門分野別ロシア語テストにも合格する必要がある(人文系修士は,さらに上のレベルのロシア語力が必要とされる)。

文法・語彙

習得語彙数12000語。自由に使いこなせる語彙数7000語。 述語の体と時制,形容詞の長・短語尾形,形動詞。動詞不定法(否定代名詞,否定副詞をもつ無人称文の単文)。文法的・意味的に正しく語を結合できる。並立複文・従属複文の接続詞の用法。副動詞構文。類似した語彙の使いわけ。動詞の接頭辞の使い分け。慣用句。

読解

かなり高度な内容の社会文化関係の文章や,法令や公報など公式文書を理解でき,ロシアの文学書を読むことができる。

作文

論文の概要,公式・非公式の手紙,読み聞きしたことを分析する報告書を書くことができる。論理的な文章(論文,エッセー,手紙など)を書くことができる。

聴き取り

テープやビデオの内容を全体的に把握し,話し手の考えや立場など細部も理解できる。聴いた内容(ラジオ・テレビ・映画,講演の録音テープなど)を評価できる。

会話

目的や話し方に応じて,いろいろな言い回しを使いながら会話を続けることができる。会話で意見の衝突が生じた場合には,話合いを通じて解決することができる。   道徳・倫理問題をモノローグの形で論ずることができる。自由会話では,自分の意見を主張し,論証することができる。

第4レベル

ロシア語を母国語とする人に近い,高いロシア語力を持つ。 ロシア語を教えたり研究したりする専門家に必要なレベル。

文法・語彙

習得語彙数15000語。自由に使いこなせる語彙数8000語。文脈の中での動詞の体,時制の正確な使い方。数詞と名詞・形容詞との結合。文脈での名詞の複数と単数の違い。 形容詞と名詞,名詞と生格の意味の違い。文体やジャンルに応じて適切な語彙を用いることができる。並立複文と従属複文の接続詞の使い方。さまざまな感情表現法。語順による意味の違い。形容詞の同根類義語。同じような意味の単語の使いわけ。動詞の接頭辞の使い分け。慣用句。運動の動詞の転意。

読解

どんなテーマでも理解し,正確に解釈できる。抽象的哲学的な文章や専門的文章を読むことができる。評論や文学作品の言葉の裏に隠された意味や,概念を読み取ることができる。

作文

提起された問題について自分の見解を盛り込んだ文章や,他者に働きかけるための文章を書くことができる。

聴き取り

ラジオやテレビ番組,映画のシーン,講演の録音テープ等の内容を,社会文化的特性,感情,言外の意味などを把握し,ほぼ完全に理解できる。

会話

準備のあるなしに関わらず,演説,対話,討論など,どんな形のコミュニケーションでもこなすことができる。

 

単位認定

  上記ロシア語検定試験の基礎レベル以上で合格した者は,単位認定申請により,外国語センター開設科目である「ロシア語基礎A I/A II」と「ロシア語基礎B I/B II」の単位として認定することができる。