筑波大学日本語教育研修会 the Lectures given at the Japanese Language Education Training Meeting

英国の大学における日本語教育 

藤野華子(オックスフォード・ブルックス大学)

  英国では現在24校で日本語、または日本学の学士課程が開講されており、3校では博士課程も設けられている。学士課程に入学する学生の88%はフルタイムの学生で、87%は高校からの進学者だ。男女比では女子の方がやや多く (58%)、3分の2の学生は、まったくの初心者として入学している。

 日本語の授業時間数は大学により異なるが、新入生は、週に平均5時間授業がある。それに文化、歴史、現代社会、といった教養科目を加えると、週に約13時間講義があることになる。日本語の教科書は「みんなの日本語」(スリーエーネットワーク)が多くの機関で使われており、構文シラバスが採用されている。教師一人当たりの学生数は機関により大きく異なり、少ないところで10人、多いところで38.8人である。また6割の大学では3年目、あるいは2年目に1年間日本に留学するようになっている。

 日本語のカリキュラムはJLPTやCEFRといった一般的な基準を採用しているところは少なく、独自の基準で組まれているところが多い。知識とスキルのバランスを取ろうとしたものが多く、4年生では知識よりもスキルを重視する傾向が見られる。最終的な目標到達レベルは多くの機関がN2-N1を定めているが、実際の到達度には幅があり、N3からN1である。そして、入学当初は約3分の1いる既習者だが、4年目にはゼロ初級で始めた学生とほとんど差がなくなることが報告されている。

(2016年5月10日)