スペイン語圏でのスペイン語研修について

 スペイン語セクションでは、ドイツ語やロシア語や中国語で開設されているような海外語学研修プログラムは、現在のところ、開設されていません。

 スペイン語圏での短期研修としては、スチューデントサポートセンター国際交流室の中南米プログラム(筑波トランスパシフィックプログラム:TTPP)が、地球規模課題の解決に向けて広く社会の安定に貢献できる中核的な実務人材育成を目的とした短期研修プログラムを、中南米の協定校でほぼ毎年実施しています。興味のある人は、以下のリンクを参照してください。

https://ssc.sec.tsukuba.ac.jp/archives/category/ttpp

 筑波大生がスペイン語圏でスペイン語学習に特化した研修を受けたい場合、自分で研修先を探して、個人の資格で、通常の授業料を支払って研修してもらうことになります。

研修先について

  研修先は、いろいろな語学学校のホームページを見て(日本語のサイトが用意されているところだけでなく、英語やスペイン語で書かれたサイトも見て)、比較検討してみてから決めたほうが良いでしょう。
選ぶ際のポイントとしては、絶対的なものはありませんが、なるべく少人数のクラス(できれば5名以内)のほうが、発言の機会が多くなるので、よいと思います。
  その意味では、国公立大学の外国人コースは、受講者が15名以上でないと開講されなかったりすることもあるので、むしろ私立の語学学校のほうがよいということが言えるかもしれません。ただし、当然のことながら、後者の授業料は前者に比べてかなり高くなります。
  大勢の欧米人や中国人の受講者を押しのけて発言の機会を確保できる自信があれば、国公立大学の外国人コースに敢えて入学して、語学を学ぶだけでなく、将来、スペイン語圏の大学の学部や大学院で正規の授業に積極的に参加(大勢のスペイン語母語話者の学生を押しのけて発言の機会を確保)できるようにするための訓練もしておく、という考え方もあるかもしれません。

・授業のプログラムが、欧州言語共通参照枠(英:Common European Framework of Reference for Languages, CEFR; 西: Marco común europeo de referencia para las lenguas, MCER)に準拠したものになっている、つまり、クラスのレベル分けが、DELEのレベル分けと同じものになっているところのほうが良いでしょう。

・どのレベルのクラスに入るかは、受講希望者が自分で選ぶのではなく、語学学校(あるいは大学の外国人コース)側が決めるようなシステムになっている(たとえば、入学後にレベル分けのための試験が実施される)ところのほうがよいでしょう。CFERに準拠するにせよしないにせよ、主として欧米人学習者を想定した授業プログラムおよびレベル分けになっていることが多いので、日本人学習者が自分にふさわしいレベルを自分で判断したり、日本人の語学教師がそれを判断してあげたりすることは、極めて困難です。

日本学生支援機構JASSOの「スペイン 語学留学ガイド」には、有益な情報が多く載っていますので、参照してください。

https://ryugaku.jasso.go.jp/oversea_info/purpose/language/lang_spanish/

交換留学協定について

  筑波大学とスペインのサラマンカ大学との間には、交換留学のための協定がありますが(全学群・全学部対象)、同大学への交換留学は、語学研修のためではなく、スペイン人の学生と机を並べて学部の正規の授業を1年間受講するための留学です。
  つまり、語学研修のためではなく、語学研修の成果を利用して学ぶための留学であると思ってください。同大学で筑波大生が語学研修をするための協定は、残念ながら、今のところありません。もちろん、個人の資格で、通常の授業料を支払って、同大学の外国人コースCursos Internacionalesで語学研修を受けることはできます。

http://cursosinternacionales.usal.es/

  スペインの他の大学やイスパノアメリカの諸大学と、本学全体もしくは特定の学群・学類との間には、いくつか交換留学の協定がありますが、これらの協定校との間に、語学研修を目的とした留学プログラムがあるのかどうかは、それぞれの協定の連絡担当責任者の先生か、スチューデントサポートセンター国際交流支援室に問い合わせてください。CEGLOCは関与していません。

  語学研修を目的として、スペイン語圏の大学の文学部(Facultad de Filología o Facultad de Filosofía y Letras, etc..)のスペイン語・スペイン語圏文学科 Departamento de Filología Hispánica に留学することは、お勧めできません。そうした学科で学べるものは、スペイン語母語話者にとっての国語学・国文学であって、外国語としてのスペイン語とはまったく別の物です。そうした学科で学んでも、法学部や理学部で学ぶのと同程度にしかスペイン語は上達しません。
  つまり、留学者のスペイン語力が、授業開始時までに、スペイン語母語話者向けの授業を聴いて理解できるような(DELEのB2に合格可能な程度の)レベルに達していなければ、そうした学科の授業を聴講しても、まったく理解できず、まったく役に立たないということです。
  もちろん、そうした授業を聴講して理解できる程度のレベルに到達した上で、スペイン語そのものを研究したくなったり、スペイン語圏文学に興味を持ったりしたら、あるいは、スペイン語教師になることを目指すならば、スペイン語・スペイン語圏文学科への留学はお勧めです。
  プロの通訳・翻訳家を目指すのであれば、スペインのたいていの総合大学には翻訳(・通訳)学部 Facultad de Traducción (e Interpretación) というものがありますので、そちらへ行くという選択肢もあります。

画像:スペイン語言語と魅力7